2009-07-04

Lotus Notes を開発した Iris Associates (その5)

2001年に前後して、Iris Associates の IBM への統合が実施された。IBM が Lotus を買収したときに Iris Associates は Lotus の子会社であったために、Iris Associates も同時に IBM に買収された。しばらくは Lotus と同様に 100% 子会社として存在したが、2001年前後に Iris Associates という会社はなくなり IBM の1部門となった。統合の前には、数回近くの Westford Regency というホテルのホールに社員を集めて、説明会が行われた。Lotus の統合は、Iris より少し遅いタイミングであったが、同様に統合されて、統合日を境にいろいろな書類で Lotus という社名を使うことができなくなった。

Lotus と Iris の統合に先立って、マネージャだけが隠密に Cambridge にある Lotus の Conference Center に呼び出された。説明もなく集まれという指示だったが、IBM の要人とのミーティングらしいと多くの人は予想していた。はたして、そこには当時の IBM 社長の Lou Gerstner がいた。Lotus 買収後はじめての Lotus の一般のマネージャへのプレゼンテーションであった。Lou Gerstner は予想していたよりも小柄で、IBM の改革という大きな仕事をしているとは思えないような温和な雰囲気であった。内容は詳しく覚えていないが、Lotus 統合を喜んでいることなど、Lotus および Lotus のメンバーに対して非常にポジティブな強いメッセージが伝えられた。メッセージのわかりやすさと、人を引き込む話には、ものすごいパワーを感じた。

Iris の統合の直後には、ソフトウェア事業担当副社長の Steve Mills が、Iris の拠点の Westford にやってきた。今度は、Westford にいるメンバー全員をカフェテリアに集めてプレゼンテーションがあった。Steve Mills のプレゼンテーションは、通り一遍の内容でまったく面白みのない物であった。統合の結果、Westford の全員が Steve Mills の配下に入った訳であるが、普段は会うこともない雲の上の人である。新しい自分の部下に初めて話すのであるから、ポジティブなメッセージを伝えることが重要だと思うが、そういう雰囲気は全くなかった。そして、「 Notes はすでに投資モードではなく、利益を刈り取るフェーズの製品と位置づける。すなわち、投資を押さえる」という意味の説明があった。これは予想していた内容であったが、多くの Iris のエンジニアの落胆は見て取れた。そこまでなら、まだ良かったが最後の次の一言が、エンジニアに火を付けた。「OS/2 のように」。技術的な面はさておき、ビジネスとしては失敗であった OS/2 と、世界のグループウェア市場で1位の Lotus Notes を一緒に扱われたことで、主要なエンジニアが一斉に質問の手を挙げて矢継ぎ早に質問が出された。当然納得できる回答など得られるわけもなく、この会合は残念な結果に終わった。

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